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2月 02 2009
東京国税局の受賞酒を含むきき酒会 プリント
2009/02/02 月曜日 18:29:34 JST

 暮れから新年にかけての不況の嵐は目を覆うばかりで、酒業界も例外ではない。年が明けて歳暮や正月酒の情況を主たる酒販筋からアンケートを取ったところ対前年比でダウンが6割8分近く。辛うじて前年並みが2割弱。前年よりアップしたのは1割4分で、良いのは客層をしっかりと踏まえてきめ細かなセールスに当たっているところである。駄目なのは普段から手抜き、御座なりの店で詳細については講演の材料として別の機会にする。

 08年11月25日(火)に大手町JAビル8Fの第一会議室にて「酒類鑑評会受賞酒きき酒及び一都三県蔵元・地ビールメーカーとの交流会」が開かれた。今回は新たに燗酒の部も設けられた。日本酒の出品は下記の通りである。
なお、受賞酒は吟醸酒が12点、吟の舞が6点、ぎんからが6点、燗酒が10点だった。全体に高水準で、ごく一部の例外を除いては僅差の入賞という印象が強かった。

東京局の一般公開

 パレスホテルでの「第31回一ノ蔵を楽しむ会」は東京局の交流会と同じ25日に開かれ、参会者は900人を超えた。ウェルカムドリンクの本醸造しぼりたて生原酒に始まり、純米大吟醸の松山天(日本酒度プラス1〜3、酸度1.5〜1.7、アルコール15.0〜15.9%)、発泡清酒花めくすず音(日本酒度プラス2〜4、酸度1.3〜1.5、アルコール4.5〜5.5%)をはじめ、17種のオンパレードは見事である。
料理はチケット制。バラエティ豊富だから酒飲みには手頃といえる。雰囲気のよさに酒も進む。今回は翌26日と二日間。ただ、当ホテルは年末から改装が始まるため翌年もこの会場が使えるかどうかはわからない。

一の蔵の幹部の人々(撮影:鈴木 潤)

 各県がどのように地元の酒を訴えているか。他県の動きを知ることも肝要ではないか。その手がかりとして、昨年6月11日に池袋で開かれたショーの内容を見渡してみたい。全国新酒鑑評会の入賞酒を中心としたものなので全蔵元の参加というわけではないが、県ごとの特徴を知るには手っ取り早い。ただ、主催が独立行政法人酒類総合研究所と日本酒造組合中央会だけに、中央会に加盟していない蔵元、例えば富山県の立山のように、金賞を受賞しても参加していないところもある。

北海道
昨年の洞爺湖サミットの統一ブランド「彩華洞爺」は順調だったが、これに続く動きはこれから。

青森県
県の酒米「華想い」を前面に。昨年はこの酒米によるカップ酒を5本1,000円で売り出した。

秋田県
原料米「秋田酒こまち」を強く打ち出す姿勢は東京の会でも同じいずれも高水準。

岩手県
こちらは純米酒300mlを1,000円セット。また微発泡も出品した。

宮城県
古くから純米酒の宮城県を謳っていて、特定名称酒の比率は抜きん出ている。

山形県
DEWA33に加えて工業技術センターが開発した山形讃香を看板にしている。

福島県
日本酒フェアでは一般の人たちに審査体験をしてもらう試みで話題を集めた。

茨城県
「ひたち錦」という県産の酒米を使った「ピュアいばらぎ」でアピール。

栃木県
金賞受賞の大吟醸などの販売にも注力して高級酒イメージを出していた。

群馬県
試飲できたのは21蔵元。ひときわ目立つ提灯かざりのブースで演出。

埼玉県
小規模蔵も個性を発揮。日本酒で乾杯推進会議の参加者も目立って増えた。

長野県
純米酒で原産地呼称の酒がずらり40銘柄。こだわりに賭けている。

新潟県
県産の酒米「越淡麗」をお披露目した。試飲できるのは88銘柄。

東京都
イベントを地元でやることでは抜きん出る。今回は清酒リキュールにも注力。

千葉県
晩酌用の身近な酒と、鑑評会出品酒などバラエティ豊かに出展。

神奈川県
地元に「かながわ蔵元屋」という居酒屋があって、そこから各蔵元が出展。

山梨県
吟醸の各種が華やかに並べられた。脱ワインの県を訴える。

石川県
「和らぎの水」発祥の地。旨い水も勧めているが、酒は晩酌用も含めた特定名称酒をずらり。

富山県
地元での県産酒シェアが比較的高く、有楽町交通会館の「いきいき富山館」の評判もあって人気上昇中。

福井県
300mlの3本セットが好評。地元産の原料米五百万石のアピールも効果的に。

岐阜県
出展は28蔵元の吟醸、純米。赤かぶやハムなど肴の出展も好評。

静岡県
東京での「静岡県の酒を楽しむ会」はこの年で11回目。東京のファンも増えた。今回は大吟醸を中心に「静岡吟醸」を。

愛知県
出展は21蔵元。全体に香りに走らず味にポイントを置いた酒が多かった。

三重県
立ち飲み屋「てっぱつ屋」がお目見えしてリラックスした雰囲気を演出。

滋賀県
「源氏物語」にちなむ銘柄の酒が8社出展。地元名物の赤こんにゃくも人気。

京都府
京都の米「祝」による酒。仕込水の試飲と販売もしていた。

大阪府
バラエティは豊かで晩酌用の酒から大吟醸までスタンバイしていた。

兵庫県
山田錦の地元であることに焦点を当ててアピール。従来からこの種の会では常に山田錦を前面に出してきた。

奈良県
菩提もとの酒を並べ、清酒のルーツを訴える。話題のキャラクター「せんとくん」もお目見え。

和歌山県
この種の会に出展することはめったに無かった県だけに、今回は試飲だけ。

鳥取県
故上原浩氏の「酒は純米、燗ならなおよし」の地元だけに燗酒の用意もあり、すべて純米酒。

島根県
特定名称酒も上級酒にピントを合わせ純米、吟醸、大吟醸の酒を揃えていた。

岡山県
雄町米のふるさとであることを訴え、岡山大学の学生が造った酒器も並べた。

広島県
県産米「千本錦」を主に使った酒を300mlで揃えて並べていた。

山口県
山口の酒米「西都の雫」による酒を揃えた。また花酵母の酒なども華やかに。

香川県
「さぬきよいまい」がお目見えして3年になるが、至って順調に売れている。清酒リキュールも人気。

徳島県
今回は1社のみの出展。

愛媛県
酒米「しずく媛」は農業試験所が開発。この酒米も含めて7社が出展。

高知県
土佐宇宙酒は麹で話題を集めたが、これをなお引き継いで宇宙米もできる由。

福岡県
清酒リキュールにも力を注ぎ、なんとか清酒の需要を拡げる窓口にしたいとか。

佐賀県
日本酒バーガーがお目見え。ワイングラスを使って、ここも清酒リキュールを出していた。

大分県
この会が催されたのが6月11日という初夏の候のため冷酒が揃えていた。

長崎県
今回は13社が15点を出品。「焼酎の県」のイメージを変えたいという意気込み。

熊本県
そもそも熊本酵母のふるさとである。その大吟醸を中心に並べていた。


 前出の通り、富山県の立山が組合から脱会したのは数年前のことだが、県内での立山の出荷量が多かったため、県としては賦課金が大きく減ってしまった。経済酒が主体である山口県の関娘のような例もあるが、組合は中央会への協力が望ましい。
このような現状で岡山県酒造組合(会長・辻均一郎氏)では昨年より一場当たりの賦課金を年額1万円としたことは注目される。その前年に組合事務所の土地を売却したことによって、今後の人件費などを考慮しても10年先まで大丈夫と踏んだからという。現在、会員蔵元は58社あるが、年間に1万円の賦課金なら続けられる、という意見が大勢を占めた由である。
辻会長の蔵元の御前酒をはじめ、副会長や理事の大典白菊、酒一筋、加茂五葉などは昨年取材した。次の酒の拙著に収める予定である。


書いた本や監修したムックの一部
 昨年からたびたび電話をかけてくる古本屋があった。その度に「暇な時に探しておく」といっていたが、年の暮れにまた電話がかかってきた。「どこで電話を知ったのか?」と訊いたら「『文芸年鑑』を見て知った」という。ということは、他の著述家のところも廻っているのだろう。「探しておく」といった手前、「では、来てみるか」となって、10冊ばかりを用意した。1冊が1,000円見当として1万円くらいかと思っていたところ、ポケットから6,000円を出して「今、持ち合わせがこれだけしかない」という。そこで断ろうと思ったところ、「はるばる来たのですから、これでお願いします」と哀願口調である。「どちらのお宅を廻ってきたんですか」と訊いたら、「池部良さんのところからこちらへ来ました」という。池部良は随筆家としても知られている。住まいは確か麻布の方だったはずだから、その足でわざわざ30分以上かけて来たわけだ。
ところで私のところに酒の本はわんさとあるが金目のものとなると自分の執筆に必要なものである。従って主に酒以外の本を用意した。業者は酒の本をアテにしていたらしい。「酒の本は売れるか?」の前置きが長くなったが、私のような仕事では、必要とあれば値段の高い、安いにかかわらず買わざるを得ない。しかし、仕事が絡まない一般の人の場合、旨い酒そのものと酒の本が目前にあったとして、どちらを選ぶかと問われれば、大方は酒を選ぶに違いない。
私が酒の本をはじめて書いたのは昭和43年で、あれから40年経つ。それまでにあった酒の本は学者センセイの醸造技術のようなものか、呑んべえ文士のエッセイの類いが大半だった。酒の業界人か酒に関心ある人は買うだろうが、一般の人はどうかと思い、業界人にも一般人にも共通して訴えることの出来る酒がテーマのものを書くように心掛けたつもりである。「酒はあまり飲めないが、貴方の本は面白い」といって買って下さる有り難い読者もある。「山本の本なら読んでみるか」という読者が一人でも多いことは「○○の蔵元の酒なら飲んでみるか」というドリンカーの心情と通じるのではないかと思う。

 「日本酒で乾杯推進会議」で会員増に貢献した埼玉県が表彰された。また、西武ライオンズの優勝、サッカーの浦和レッズの躍進など何かと埼玉県が注目されている。さらにこの3月からは朝のNHK連続テレビドラマが川越を舞台に展開される。そんな埼玉県の酒蔵を12月に10蔵、1月に10蔵取材した。12月は秩父から小川町にかけて、1月はその他のJRや東武沿線の地域を巡った。取材した5日間に感じたことは、どの蔵元にもそれぞれの持味が生き生きとしていて、頼もしく動いているということだった。以下は、1月に取材した蔵元のプロフィールをお伝えする。

埼玉の地酒


埼玉と姉妹都市のミルウォーキー市で開催された時に出展の樽(2008年9月7日)

大手門(さいたま市岩槻)
 岩槻といえば人形の町で知られる。その岩槻の駅構内に「大手門」の酒の看板があるが、ここ岩槻では万両の銘柄で古くから通っていた蔵元である。それが特定名称酒などに大手門の名が使われはじめてさらに拡がった。
駅から歩いてほんの6〜7分のところにある蔵元では資料館も整っているから立ち寄ってみるといい。現在の当主は6代目で、明治4年に創業した初代が集めた昔の酒造りの絵図をはじめ、勝海舟の揮毫の屏風など見応えある品々が揃っている。ここでは琴の会なども催されるというから、雰囲気も上々である。
酒は南部杜氏の3名が中心になって、全体にソフトタッチの酒質である。当主によれば、あまり酸の出ない蔵だという。数点をきかせて頂いたが、特別本醸造の720ml=1,029円はお買い得ではないか。一昨年、一昨々年と全国の鑑評会で金賞も得ている。

世界鷹(さいたま市指扇)
 この蔵元の懐ろの深さには驚く。系列の全国の蔵元を数社、それぞれの特徴ある個性味を活かしている姿勢はお見事という他ない。
本社蔵のある指扇の酒蔵を拝見した。技術者の業(わざ)が介入する中心部分を除いて、オートメーション化が徹底されている。屋外の醗酵タンクは業界でも初期のものだ。
蔵元のルーツは兵庫県姫路に近い播磨町でこの県に多い滋賀県や新潟県からのルーツとは違っている。江戸時代後期に小山屋又兵衛氏がこちらへ出てきて酒造りをはじめ、現在の小山景市社長は7代目に当たる。
いうまでもなく製品の層は厚く、受賞歴も多いが、ここのメインは世界鷹、中でも浸透している金紋世界鷹には片寄ったクセがなく、親しみ易いのど越しが愛飲層に広く歓迎されている。中でも気をひかれたのは「温情・米だけのやさしい思いやり」(2L=1,080円)という温和な酒で、貴醸酒ではないが仕込水に清酒を使って旨味を上手くのせていてリーズナブル。
なお小山景市社長は県酒造組合会長でもあり、昨今、埼玉に愛飲家の視線が集まっているのは、この小山氏に負うところが大きい。

旭正宗(さいたま市西堀)
 「旭=朝日の昇る勢いのある蔵元を目指して」付けた酒名だという。仕込水は超軟水だけに至って優しい酒質で、この地方の脂の乗ったウナギ料理にもよく合っている。
当主によれば、「杜氏は頑固ですよ」と笑うが、その頑固さがここ3年連続の全国金賞とその前の隔年の金賞を得ている。
今はさいたま市だが、かつては浦和の地域では唯一の酒蔵でもあった。歴史は220年を超える。原料米は主に県産、さけ武蔵や若水で、兵庫の山田錦や新潟の五百万石なども上手く使っている。
昭和44年といえばまだ純米酒に対する関心の薄かった頃だが、その時に「純粋な」酒を目指して付けた「純」の文字が今の純米酒に生きている。このほか、いずれは本醸造「うらら」をグレードアップして、これに「天」の文字を付けた「天うらら」を考えているという。

鏡山(川越市)
 小江戸の別称をもつ川越で明治8年に創業した鏡山は、平成12年に一旦休造した。その6年後に再起してからは、かなり手間をかけてごく少量の酒を造っている。
400石ばかりの全量を箱麹か蓋麹とし、膠は全部を袋での上槽、火入れは瓶火入れ、それらを純米酒以上の特定名称酒としている。「無難な酒は造りたくない」「こだわった酒を造りたい」という当主の意気込みが伝わってくる蔵内だ。上槽は昔のような重しをぶら下げて行う理屈で無理な加圧などしていない。スミに頼らず味をのせた酒は正直なもので、このクセ、個性味にとりつかれる人はあるだろう。手間をかけただけに他の多くの蔵元の酒と比べて若干値段が高いのは無理もない。
今のNHK朝の連続テレビ小説『だんだん』では松江の李白がモデルとして登場するが、3月からの『つばさ』ではどんな役割で鏡山が登場するか楽しみだ。

寒梅(久喜市中央)
 ここの酒蔵は関東平野のほぼ中心に当たりJR線久喜駅のすぐそばにある。蔵元の歴史は200年に近い。
鑑評会の出品酒で6年連続金賞を得たことから一般公開で味は知っていた。純米のお薦めは「特別純米酒・寒梅」(日本酒度プラス3、酸度1.3、720ml=1,041円)。仕込水はやや軟水気味で、すっきりとした中のコクはこの蔵元の持味を象徴している。越後杜氏が自分の地元で栽培した五百万石で醸した「大吟醸・寒梅・しぼりたて原酒」(日本酒度プラス5.5、酸度1.5、720ml=1,890円)もお買い得。
当主は元醸造試験所所長の秋山裕一氏に薫陶を受けて、泡無し酵母の使い勝手にも精通している。
吟醸や純米の一方で「山廃仕込本醸造・辛口」(日本酒度プラス8、酸度1.3、720ml=1,034円)のように燗におあつらえ向きの酒もあるが、辛口と謳っているほどには辛く感じない。幅のある旨味が冴える。

力士(北埼玉郡騎西町)
 蔵開きには4,000人近くもつめかけるが、資料館などは以前からオープンしていて、来客の対応にはぬかりない。
この蔵元には30年近く前にマスコミ関係者10余名を同行したことがあり、当時からあった力道山のポスターや漫画家・おおば比呂志の絵など、懐かしい品々が揃っている。
造りは原料米に地元の若水とか日本晴、長野の美山錦、徳島の山田錦など多彩に使っている。仕込水は硬水で県内の他社の製品と比べると、やや辛めというところだろうか。ただ、製品の層はきわめて厚く、純米大吟醸「天上香」「風の如く」をはじめ、大吟醸「不知不織(しらずしらず)」、吟醸「心白千粒重」、本醸造「宇」、さらに生酒や季節限定品など多様。中でも大吟醸「不知不織」(山田錦37%精米、日本酒度プラス4.5、酸度1.2、アミノ酸度0.8、1.8L=10,500円)は平成19年、20年と全国鑑評会で連続金賞を得ている。

晴菊・武州(羽生市西)
 伊勢崎線の羽生駅から歩いて数分のところで5,000坪ほどの敷地に東亜酒造がある。
この会社のルーツは秩父地方だったが、昭和16年に羽生に移ってきた。赤城山系の伏流水は地下230mから取っているという。清酒は勿論、焼酎、合成清酒、ウイスキー、リキュール、ワインなど多彩な製造免許を持つ。
清酒は晴菊がメインだが、最近では「晴菊・武州」という特別純米酒に力を注いでいる。原料米は五百万石で、これを60%精米したもの(日本酒度プラス1、酸度1.7、720ml=980円)を試してみた。近頃よく出まわっている淡麗辛口ではなく、といって濃くもない。中口とでもいおうか。
全国新酒鑑評会でも賞を得ているが、2002年からは国際コンクールのモンド・セレクション、清酒、焼酎部門で金賞、銀賞を受賞している。その一方、生活協同組合ルートで「虹の宴」の銘柄でお馴染みの方も多いと思う。

日本橋(行田市桜町)
 なにしろこの10年間に9度の全国金賞、18年には関信越局でトップだった蔵元だけに、一般公開ではよくお目にかかっていた。出品酒は山田錦40%精米、日本酒度プラス5、酸度1.3、アミノ酸0.6の大吟醸で、埼玉Cの酵母が使われていた。丁寧な造りが口中に広がる感触がたまらない。現在、その大吟醸は720ml=5,250円で出ている。大吟醸以外では協会9号酵母がよく使われていた。その時の杜氏、高橋清明氏は酒造りひと筋40年の南部杜氏で、他に杜氏資格のある頭なども。
酒蔵に隣接して展示場もあり、見学客は絶えない。行田には10万株にのぼる古代蓮の里や古墳公園などもあり、東京からの日帰りツアーがある。日本橋の酒蔵を見学して、酒蔵そばの「蔵一山」という味どころで地元の風味を盛った昼食をとり、武蔵丘の森林公園など巡る旅が9,800円〜10,800円で催される。日本橋の蔵元で買う酒がいい土産になろう。

菊泉(深谷市田所)
 深谷といえば、ネギの町としてよく知られているが、古くからレンガの町としても名を馳せていた。町のいたるところにそんなレンガ造りの面影が残っている。菊泉の蔵元にも今は使われていないが、レンガでは珍しい円形の煙突が残っている。
地元でよく飲まれている酒質は日本酒度プラス4、酸度1.3前後のものとのことだが、この蔵元の仕込水はやや高めの硬水だけに、酒質はしゃきっとしている。一方、秩父の方からわざわざ水を運んできて造った自然酒という純米吟醸は軟水仕込みなのでふくよかな風味が漂う。他に屋号から命名した大吟醸・升田屋、大吟醸の三年古酒など味の厚みは見事なもので、とりわけ熟成された古酒のぬる燗は絶品。
原料米には長野の美山錦が多く、地元のさけ武蔵なども使っている。

神亀(蒲田市馬込)
 純米酒を目指すことにしたのが昭和42年、全量を純米酒にしたのは昭和62年だった。上原浩氏が亡くなられたのを機に結成した「全量純米蔵を目指す会」には全国22の蔵元が参加している。年会費は通信費のみで、集会はそれぞれの蔵元が実費負担するだけだから特に会計係は置いていない。ただ、純米酒も飲み頃になるまでの熟成期間が必要であり、資金的にはむずかしい点が多い。
神亀の酒蔵では若い従業員がてきぱきと働いていた。全国から志願してきた蔵人は9名。当主の小川原良征氏は「今日があるのは池袋の甲州屋さんのお蔭です」という。この酒販店については、今から10年余り前に出た「甲州屋光久物語」(高瀬斉著、フルネット刊)に書かれている。これは酒の発掘に賭けた酒販店主の話である。
この日、純米酒・神亀、同・上槽中汲み、ひこ孫・純米吟醸、同・大吟醸(精米40%)を頂いた。どれも個性味にあふれていて、いずれ別の機会にご紹介したい。

 
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